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飲食店の厨房ダクト清掃
消防法・火災予防条例に基づく義務とリスク
はじめに
飲食店における清掃は、単なる「衛生管理(食中毒予防)」だけでなく、「消防法(火災予防)」の観点からも極めて重要であり、法律上の義務が課せられています。特に重要なのが、厨房の排気ダクト(換気設備)です。
飲食店の火災原因の多くは、ダクト内に蓄積した「油脂(油汚れ)」への引火(ダクト火災)です。以下に、飲食店経営者や店長が知っておくべき「消防法と清掃の関係」について、法的根拠・義務内容・罰則などをわかりやすく解説します。
1. 法律の仕組み:消防法と火災予防条例
まず、基本となる法律の構造を理解しましょう。
- 消防法(国の法律):建物の管理権原者(オーナーや店長)に、火災予防のための管理義務を課します。一定規模以上の店舗には「防火管理者」の選任と「消防計画」の作成を義務付けています。この計画の中に「設備の点検・清掃」が含まれます。
- 火災予防条例(各自治体の条例):ここが実務上の最重要ポイントです。消防法に基づき、各市町村が定めている条例で、「厨房設備(ダクトやフードなど)の清掃義務」について具体的に明記されています。(例:東京都火災予防条例 第3条の4など)
2. 具体的な清掃義務と頻度の目安
自治体によって細かな規定は異なりますが、一般的に消防署の指導基準(ガイドライン)等で推奨されている頻度は以下の通りです。
| 対象設備 | 具体的な場所 | 清掃・点検頻度の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| グリスフィルター | フード内の油除去フィルター | 1週間に1回以上 | 最も油が付着しやすく、引火の入り口になる。 |
| 排気フード(天蓋) | コンロ上部の傘状カバー | 1週間に1回以上 | 外側だけでなく、内側の油だまりを除去する。 |
| 排気ダクト(内部) | 天井裏を通る排気管 | 1年に1回以上 | 最重要・盲点。外部から見えないため放置されがちだが、火災時の延焼ルートになる。 |
| 排気ファン | 換気扇の羽根や内部 | 1年に1回以上 | 油が付着すると排気能力が落ち、熱がこもりやすくなる。 |
※油を大量に使う業態(中華、焼肉、揚げ物メインなど)は、上記の目安よりも高頻度での清掃が必要です。
3. なぜ「ダクト清掃」が消防法で重視されるのか?
「見えない場所の油」が燃料になるからです。
- 調理中に鍋から上がった炎が、グリスフィルターの油に引火する。
- 火のついた油や熱気が、換気扇の吸引力でダクト内部へ吸い込まれる。
- ダクト内部に長年堆積したヘドロ状の油に引火し、天井裏で一気に燃え広がる(ダクト火災)。
- 消火器では手が届かず、建物全体を巻き込む大規模火災になる。
消防署の立入検査でも、「ダクトの清掃状況」は重点的にチェックされます。
4. 違反した場合のリスクと罰則
① 消防法に基づく命令・罰則
改善命令・使用停止命令: 危険と判断された場合、消防署から清掃などの改善命令が出されます。最悪の場合、改善されるまで厨房の使用停止(営業停止)を命じられることがあります。
罰則: 命令に従わない場合、30万円以下の罰金や拘留などが科される可能性があります(消防法第44条など)。
② 重大な法的責任(火災発生時)
もし清掃を怠ったことが原因で火災を起こし、怪我人や死者が出た場合、以下に問われる可能性があります。
- 業務上失火罪 / 業務上過失致死傷罪:「予見できた危険(油汚れ)を放置した」として罪が重くなります。
- 損害賠償請求:ビルオーナーや近隣店舗からの巨額の賠償請求。
- 保険が下りない:「重大な過失(清掃を長期間していなかった等)」と認定されると、火災保険が適用されないケースがあります。
5. 店長・オーナーが今すぐやるべきこと
消防署の立入検査が来た際に「やっていません」では済みません。以下の対策を確認してください。
- 清掃記録をつける:いつ、誰が、どこを掃除したか記録を残してください。消防署への証明になります。
- 専門業者による定期清掃(年1回推奨):ダクト内部やファンなど、素人では手が届かない場所は、プロの清掃業者に依頼してください。清掃前後の写真付き報告書は「法令遵守の証拠」になります。
- 防火管理者への確認:防火管理者が作成している「消防計画」に、厨房設備の清掃計画が記載されているか確認し、実態と合わせてください。
まとめ
「汚いから掃除する」のではなく「火事を出さないために掃除する」という意識が必要です。長期間(1年以上)ダクト内部の本格的な清掃をしていない場合は、目に見えない部分に大量の油が溜まっている可能性が高いため、早急に専門業者へ点検・見積もりを依頼することをお勧めします。
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